活性汚泥処理におけるトラブルの原因と対策
表-1 沈殿槽におけるトラブルの原因と対処方法  
状  況   原    因     対  処  方  法  
1. 処理水が白濁する  廃水の浄化が進んでいない    原因を究明し浄化を進める  
     BOD汚泥負荷が高い    MLSSを増加し、BOD汚泥負荷を適切にする  
     DOが低い    DOを1.5ppm以上にする  
     浄化時間が短い    返送汚泥量を確認し、返送量を減らす  
     汚泥のキャリオーバー    返送量を調整し、汚泥界面を下げる  
     BOD負荷が非常に低い (汚泥の解体)  BOD負荷に適したMLSS、送風量に下げる  
2. 汚泥が浮上する  細かな汚泥が全面に浮上 (脱窒現象)  脱窒槽を設ける、曝気槽内で循環する  
     汚泥が大きな塊で浮上 (汚泥の腐敗)  沈殿槽の底部を掃除する  
     急激な水量の増加      水量の増加を抑制する    
3. 汚泥界面が上昇  MLSSの増加    汚泥を引抜き処分する  
  する    返送汚泥量の不均一    沈殿槽、エアーリフトの掃除、返送の均一化を図る
     バルキングによる汚泥の膨化    パルキングを解消する (別途記載)  
     処理水量の増大      水量増加の原因を究明し、適切に対処する  
表-2 曝気槽におけるトラブルの原因と対処方法
状  況   原    因     対  処  方  法  
1. DOが低い  BOD負荷が高い    BOD増加の原因を究明し、適切に対処する  
     MLSSが高い    BOD負荷に適したMLSSに調整する  
     散気装置が破損している    曝気状態を観察し、破損した散気装置を交換する
     送風量が少ない    プーリー交換などにより送風量を増やす  
     送風配管に漏れがある    送風配管を点検する  
     送風圧力損失が大きい    圧力損失増大の原因を究明する    
2. BOD、CODが低下  MLSSが低い    BOD負荷に適したMLSSに調整する  
  しない    DOが低い    DOを1.5ppm以上に調整する  
     水量・水質が大きく変動している    水量・水質の変動幅、変動要因を調べ、対処する
3. NH3が低下しない  浄化が進んでいない    MLSSを増加、DOを高める  
     BOD負荷が高い    BOD負荷とMLSSのバランスをとる  
     水温が低い    MLSSを上げてカバーする  
     T-Nの負荷が高い      T-N負荷の高い原因を究明し対処する  
4. 白い泡が発生する  界面活性剤に発泡    MLSSの増加や消泡剤の使用  
             界面活性剤を含む廃液を回収・別途処分  
5. 粘性の泡が発生  栄養素が不足している    窒素、燐、Ca、Feなど必要な栄養素を添加する  
  する    DOが低い        DOを上げる      
表-3 汚泥に関するトラブルの原因と対処方法
状  況   原    因     対  処  方  法  
1. 汚泥の分散  浄化が進んでいない    原因を究明し、適切に対処する  
     BOD負荷が高い    BOD増加の原因を究明し、適切に対処する  
     MLSSが低い    BOD負荷に適したMLSSに調整する  
     DOが低い    DOを上げる  
2. 汚泥の解体  BOD負荷が非常に低い    BOD負荷に適したMLSSに調整する  
     DOが非常に高い    DOを1.5ppm程度に調整する  
     滞留時間が長い      曝気槽の利用方法を検討する    
バルキングの原因と対処方法
[ 原  因 ]
 一般の活性汚泥中には、通常の球菌や桿菌と糸条菌が共存しており、曝気槽内の環境が悪くなると、表
面積の大きい糸条菌の方が、欠乏している成分を取り込みやすく、このことが糸状菌の異常繁殖を招くと
言われている。その原因は一つではなく、多くの要因があると言われている。
[バルキング発生の主な原因]
@  急激なBOD負荷の上昇とその継続 D  栄養源(窒素・りん)の不足
A  流入水の腐敗 E  DOの不足
B  阻害物質や洗剤などの混入 F  MLSSの過剰
C  処理水量や水質の大幅な変動
[ 対  策 ]
 バルキング対策には、薬剤等を添加する緊急対策と運転操作による恒久対策がある。
緊急対策:薬剤添加によるバルキング対策]
過酸化水素添加法 :  返送汚泥または曝気槽入口に、20〜40mg/ℓのH2O2を3〜10日間連続投与する。
返送汚泥または曝気槽入口に、200〜300mg/ℓのH2O2を約24時間、数日間隔で
2〜3回繰り返し投与する。
次亜塩素酸添加法 :  返送汚泥に対して、有効塩素濃度で1〜5mg/ℓを2〜3日連続投与する。
消石灰添加法 :  流入水に対して300〜500mg/ℓを2〜3日、連続投与する。消石灰粒子がフロック
の核になり、汚泥の沈降速度を上げる効果があるとされている。
高分子凝集剤添加法 :  カチオン系高分子凝集剤を、乾燥汚泥に対して0.1〜0.3%、曝気槽出口または
沈殿槽のセンターウェルに注入する。この方法は強制的に汚泥を凝集させるもの
であり、糸条菌を減少させる働きはない。
恒久対策:運転操作によるバルキング対策]
BOD汚泥負荷 :  MLSSと原水量を調整し、BOD汚泥負荷を0.25kg-BOD/kg-SS・day以下にする。
返送汚泥量 :  返送汚泥量を適正量の約30%増に調整する。
曝気槽DO :  曝気槽のDOを1.5〜2.0ppmに上げる。
表-4 活性汚泥に対する毒性物質の限界濃度 (単位 : mg/L)
    毒 性 物 質 名 判断項目 活性汚泥 自浄作用     毒 性 物 質 名 判断項目 活性汚泥 自浄作用
 塩   素   Cl2 0.5 0.1  クロム酸、クロム酸塩 Cr 2 〜 5 0.3
 砒   素   As 0.7  カドミウム化合物 Cd 1 〜 5 0.1
 硫化水素、硫化物 S-2 5 〜 25  シアン酸、シアン酸塩 CN 1 〜 1.6 0.1
 酸   類   pH 値 6 5  ホルムアルデヒド HCHO 800 180
 アルカリ類 pH 値 9 〜 9.5  有機酸   pH 値 4.5
 塩化ナトリウム NaCl 8000-9000 10,000  メチルアルコ−ル CH3OH 5,000
 硫酸ナトリウム Na2SO4 3,000 1,000  エチルアルコ−ル C2H5OH 15,000
 亜硫酸ナトリウム Na2SO3 300  エチルエ−テル (C2H5)2O 3,000
 チオ硫酸ナトリウム Na2S2O3 1,000  キ シ ロ − ル C6H4(CH3)2 200
 塩化カルシウム CaCl2 10,000 10,000  フ ェ ノ − ル C6H5OH 50
 塩化マグネウム MgCl2 16,000  ハ イ ド ロ キ ノ ン C6H4(OH)2 100
 硫酸マグネウム MgSO4 10,000  レ ゾ ル シ ン C6H4(OH)2 300
 硫酸アルミニウム Al2(SO4)3 1,000  ピ ロ ガ ロ − ル C6H3(OH)3 100
 鉄 化 合 物 Fe 100  ク レ ゾ − ル CH3C6H4OH 50
 銅 化 合 物 Cu 1 0.01  ア ニ リ ン C6H5NH2 1,000
 ニッケル化合物 Ni 6 0.1  陰イオン活性剤   10 〜 40 100
 亜 鉛 化 合 物 Zn 13 0.1  陽イオン活性剤   10 0.2〜0.4
 鉛 化 合 物 Pb 10 0.1  非イオン活性剤   5 100

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